ショットピーニングについて
About shot peening
ショットピーニングとは
ショットピーニングとは、冷間加工の一種で、鋼や非鉄金属の無数の丸いたま(ショット)を翼車(羽根車)、高圧空気、超音波などで高速度に加速して被加工材に衝突させる(ピーニング)加工である。加速されたショットが被加工材料に衝突すると、一般的には材料に比べショットは硬いので材料表面に丸いくぼみ(痕)が生成される。加工時間の増加と共に加工面は無数の痕でおおわれ梨地模様となる。このとき、いわゆるピーニング効果として、表面層の硬さが増し、また繰返し荷重に対しては表面層に付与された圧縮残留応力が相殺する形で作用するため疲労強度が増す。この他、耐摩耗性の向上、耐応力腐食割れ特性の向上、放熱性の向上、流体抵抗の減少等の効果がある。また、材料依存性が少ないことから、ばね、歯車、コネクティングロッドといった自動車部品から、ジェットエンジンのタービンブレード、翼、ランディングギア(脚)などの航空機関連、化学プラントなどの圧力容器、鋼橋などの鋼構造物の耐久性強化など様々な分野で利用されている。

ショットピーニング技術協会 会長
明治大学 理工学部 助教授
當舍 勝次
「疲れをキャンセル」
させることのできる画期的な工法
人間も疲れると同じく、橋にも金属疲労という現象が
起きます。
そしてこのショットピーニングという技術によって金属疲労を取り除くことができる、すなわち「疲れをキャンセル」させることが可能となりました具体的に言うと溶接部には引張の残留応力が発生しており、ショットピーニングを活用。金属で打撃することにより圧縮の残留応力へ変わり金属の疲れを回復することが可能となりました。この技術を使うことにより、橋の耐久性は50年60年と「安全」に使えるようになったと考えられます。今まで行われていた「塗装」だけではなく「塗装」+「金属疲労回復」そして現場での「品質管理高度化」にも非常に貢献しているのが画期的だと考えております。研究室のラボレベルではこの想定内でした、そして実際の橋梁で計測し残留応力と研究室のラボでの残留応力を一致させることができました。この結果は驚きましたが、実験室での研究結果がそのまま現場で再現可能となったのも嬉しく思います。

福岡大学 工学部 教授
(2017年度 – 2019年度 岐阜大学 工学部 准教授)
教授 木下 幸治
アメリカとの共同開発研究
福岡大学木下教授(岐阜大学)、ヤマダインフラテクノスとTOYO SEIKO NORTH AMERICA(TSNA)は、TSNAの所在地であるイディアナ州立Purdue大学と共同研究を行っております。Purdue大学は、1869年に創立され、210以上の専攻科目を持ち、特に理系と経営の分野で名高い大学です。世界で初めて航空工学を取り入れた大学であり、これまで多くの宇宙飛行士を輩出しており1969年7月20日に人類史上初めて月面に着陸したニール・アームストロング氏も卒業生になります。共同研究は鋼橋へのピーニング効果に関してですが、インフラ予防保全に協会を設立し傾注されているヤマダインフラテクノスが保有しているピーニング技術を米国にも普及させたいとの要望があり、そのための基礎実験を北米の大学で行いその成果を公表する必要性を考慮し開始いたしました。ヤマダインフラテクノスと共同研究を国内で行っている岐阜大学(現福岡大学木下教授)にも参画頂き、技術的な指導をお願いすることにいたしました。研究はショットピーニング工法とニードルピーニングの効果を疲労試験や残留応力で比較しており、これまでに多くのショットピーニングの有益性が確認され、2025年同大学で開催される第15回ショットピーニング国際会議で研究成果を発表することになっています。

東洋精鋼株式会社 代表取締役社長
ショットピーニング技術協会 理事
日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会 会員
渡邊 吉弘
次なるステージは「疲労」にあり
私は、塗装屋として、ブラスト後の鋼橋の地肌を数多く見てきました。そして溶接継手部に発生した数多くのき裂を見てきました。き裂は発見されれば補修しますが、その後、き裂が発生した箇所と同等の疲労強度の継手部に新たなき裂が発生する可能性が高くなります。ブラスト+重防食塗装で塗装の寿命を大きく伸ばしても、5年に1度の定期点検でき裂が発見されれば、その都度足場を架け、塗装を剥がし、桁に穴をあけ、き裂補修をしなければなりません。私は鋼橋における疲労き裂の予防保全工法の必要性を強く感じました。そこで目を付けたのが「ショットピーニング」でした。周りからは、工場の施工環境があってこそ可能なショットピーニングをどうやって既設の鋼橋で施工するのか、と言われました。しかし私たちは、不可能と言われてきた工場でのスチールブラストを現場において実現させた「循環式ブラスト工法®」の実績がありました。そして、木下教授、東洋精鋼といった心強い仲間とともに、既設鋼橋の疲労き裂予防保全技術である「循環式ショットピーニング工法」を完成させたのです。この技術は、「循環式ブラスト工法®」と共に国交省が推し進める「予防保全型メンテナンス」に大いに貢献できると確信しています。

ヤマダインフラテクノス株式会社 専務
日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会 理事
広島大学 客員講師
ウシワカ製作委員会 会長
山田 翔平
JISの取得
自動車業界、航空機業界で使われてきた鋼材の疲労き裂予防保全技術であるショットピーニングを既設鋼橋でも施工可能とする「循環式ショットピーニング工法」が開発され、施工実績が伸びてきました。
一方、適切な条件の下でショットピーニングを施工した場合には、施工による品質の差は生じにくいですが、ショットの硬さ、粒径などの規格が施工部の品質を大きく左右します。
しかし、既設鋼橋へのショットピーニングにおけるショットの規格及び基準は国内外に存在しておらず、業界及び使用者から標準化が切望されていたため、令和2年9月「鋼構造物への循環式ショットピーニング用ショット」の規格を制定するに至りました。
JIS原案作成委員会の委員長である、當舎先生をはじめ、分化会幹事の渡邊様、委員の木下教授など多くの方々のご協力があってこそのJIS制定でした。この場を借りて改めて深く御礼申し上げます。

技術の概要
Overview
鋼材の疲労強度を向上させる技術
循環式ショットピーニング工法


※「ショットピーニングによる溶接継手部の疲労強度向上効果」より抜粋
(土木学会 平成28年度全国大会論文発表 優秀講演者賞受賞)
鋼橋の塗替え塗装時に1工程加えるだけで鋼材の疲労強度を向上させる技術「ショットピーニング」を可能とした画期的な工法。
無数の特殊鋼球(ピーニング材)を高速度で鋼材表面に打ち当て、表面近傍だけを塑性変形させることで、表面層に圧縮残留応力を与え、疲労き裂と応力腐食割れなどに対する抵抗力の向上を図る技術です。また表面の結晶が微細化され、き裂の進展を抑制します。
さらに表面硬化することでキズも入りにくくなります。自動車や航空機業界では疲労耐久性向上として一般的に用いられてきた実績のある技術です。/技術力を提供し続けます。
表彰
文部科学大臣表彰 科学技術賞(2022)
「経済的で環境に優しい鋼構造 物の疲労き裂予防保全工法の開発」において、福岡大学の木下幸治教授と共同で、「令和4年度文部科学大臣表彰科学技術賞(技術部門)」を受賞しました。
同賞は、文部科学省が、科学技術に関する研究開発・理解増進等において顕著な成果を収めた者に送るもので、技術部門は、中小企業、地場産業等において、地域経済の発展に寄与する優れた技術を開発した者が対象となります。

産学協同研究講座
環境に配慮した
先端リニューアル技術の開発
当社は、昨年6月、国立大学法人東海国立大学機構と共同研究講座設置契約を締結し、岐阜大学構内に設置した「社会インフラ・エコ・リニューアル技術共同研究講座(通称 Yamada Lab.)」において、既存鋼構造物の長寿命化を実現可能とする環境に配慮した先端リニューアル技術の開発を行っています。
既設鋼橋へのショットピーニング実績はまだまだ少なく、研究の余地も多く残っています。研究途上で新たな課題も出てくるでしょう。そして海外では鋼橋に対するショットピーニングの実績はありません。
当社は、インフラ先進国であるアメリカのパデュー大学を加えた共同研究もスタートさせました。アメリカでの実績や効果の確認などを行っています。

施工実績
Construction

加家高架橋(愛知県)

河口湖大橋(山梨県)

近畿自動車道松葉高架橋(大阪府)

国道1号三池橋(静岡県)

国道1号大沢大橋(静岡県)

国道1号潮見高架橋(静岡県)

国道1号同心橋(静岡県)

国道23号西中高架橋(愛知県)

国道23号道徳高架橋(愛知県)

国道23号北頭高架橋(愛知県)

東名阪自動車道津島高架橋(愛知県)

国道19号穂刈橋(長野県)